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●不妊治療を、この1年間に179名に行い、92名(51.4%)が妊娠に至りました。(図1)
平成21年1月から平成21年12月末までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は262名でしたが、治療が3周期未満で経過の判らない方59名と不妊相談(カウンセリング)のみの5名の計64名を除いた198名を解析対象としました。
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●174名中90名(51.7%)が妊娠に至りました。(図1)
198名から男性因子の8名(内訳は無精子症5名、精子数が500万/ml未満の高度乏精子症
または運動率が10%未満の精子無力症3名)、早期卵巣不全(早発閉経)の3名、
両側卵管閉鎖8名の計19名を除いた179名のうち、妊娠に至った方は92名(妊娠率51.4%)でした。
生殖補助医療である体外受精・胚移植を除くと、一般不妊治療では174名中90名(51.7%)が妊娠に至りました。
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●開院以来7年10ヶ月で、のべ647名が妊娠に至っています。(図1)
平成14年3月に開院以来、平成21年12月までの7年10ヶ月で、妊娠した方は、
平成14年度50名、15年度57名、16年度79名、17年度101名、18年度80名に、
平成19年89名のうち、平成19年4月から12月末までの70名の計437名。
それに、平成20年の118名と21年の92名を加えて、のべ647名となりました。
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●タイミング療法だけで98名中48名(49.0%)が妊娠(図2)
治療法別妊娠は、妊娠に至った92名中、タイミング療法で48名(52.2%)、排卵誘発剤
等投与で44名(47.8%)でしたが、排卵誘発剤では経口投与が30名(32.6%)、卵巣刺激
注射が12名(13.0%)、体外受精胚移植が2名(2.2%)でした。
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表1
治療法 |
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症例 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
双胎 |
タイミング |
98 |
48 |
49.0 |
8 |
10.6 |
0 |
排卵誘発剤(経口) |
91 |
30 |
33.0 |
7※ |
11.6 |
0 |
hMG or FSH |
35 |
12 |
34.3 |
6 |
50.0 |
1 |
小計 |
224 |
90 |
51.4 |
15 |
12.7 |
1 |
体外受精 |
新鮮胚 |
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3 |
1 |
33.3 |
0 |
0 |
0 |
融解胚
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3 |
1 |
33.3 |
0 |
0 |
0 |
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全体 |
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179 |
92 |
51.4 |
21 |
22.8 |
1 |
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AIH 症例別 |
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20 |
10 |
50.0 |
4 |
40.0 |
1 |
周期別 |
72周期 |
10 |
13.9 |
|
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クロミッド・AIH |
13 |
4 |
30.8 |
1 |
16.7 |
0 |
hMG・AIH |
16 |
6 |
37.5 |
3 |
50.0 |
1 |
※子宮外妊娠2名含む
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●タイミング療法だけで98名中48名(妊娠率49.0%)が妊娠。(表1)
タイミング゙指導のみや超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の
確認、尿のLH検査等によるタイミング療法のみで98名中48名(妊娠率49.0%)が妊娠に至りました。
●排卵誘発剤等経口投与で91名中30名(妊娠率33.0%)が妊娠。(表1)
排卵障害や黄体機能不全の方やタイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、
経口の排卵誘発剤であるクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(同セキソビッド)、高プロラクチン血症に対しその治療薬であるカルベゴリン(同カバサール)、また多嚢胞性卵巣症候群(PCO)に対して
インスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(同グリコラン)等が投与され、91名中30名(妊娠率33.0%)が妊娠しました。
●卵巣刺激注射で35名中12名(34.3%)が妊娠。(表1)。
排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にhMGやFSHなどの卵巣刺激注射が35名に行なわれ12名(妊娠率34.3%)が妊娠に至りました。
●体外受精胚移植は5名6胚移植中2名(33.3%)が妊娠。
X.多胎妊娠は1名のみ。 (表1)
排卵誘発療法の副作用ともいえる多胎妊娠は1名(92名中1名1.1%)で双胎でした。
治療法別では、経口の排卵誘発剤投与では1例もなく、卵巣刺激注射によるものでした。
Y.夫婦間人工授精(AIH)は20名中10名(症例別妊娠率50.0%、周期別妊娠率13.9%)が妊娠。(表1)
タイミング療法や排卵誘発療法に併せてIUI(intrauterine insemination 子宮内人工授精) やFSP(fallopian tube sperm perfusion 卵管内精子注入) などのAIH(artificial insemination with husband’s semen 夫婦間人工授精)を20名に行い10名(症例別妊娠率50.0%)が妊娠に至っています。
なお、AIHはのべ72周期に行い、10周期で妊娠し、周期別の妊娠率は13.9%でした。
Z.卵巣刺激注射+AIHにて16名中6名(37.5%)が妊娠
一般不妊治療で最も上のレベルである、卵巣刺激注射+AIHが16名に行われ、6名(37.5%)が妊娠に至っています。
なお、排卵誘発剤等経口投与+AIHは13名に行われ、4名(30.8%)が妊娠に至っています。
[.流産は92名中21名(流産率22.8%)(表1)
妊娠された92名のうち21名(流産率22.8%)が流産に終わり、昨年の118名中15名(流産率12.7%)に比べて極めて高率でした。また子宮外妊娠も2名(2.2%)にありました。
治療法別では、タイミング療法では48名中8名(流産率16.7%)、排卵誘発剤等経口投与で30名中7名(内2名が子宮外妊娠)(流産率23.3%)、卵巣刺激注射で12名中6名(流産率50.0%)が流産となりました。
\.子宮卵管造影検査後、半年以内に40名中18名(妊娠率45.0%)が妊娠。
通気テストや子宮卵管造影検査(HSG)などの卵管通過性検査を20年7月から21年12月までに通気テストのみ56名、HSGのみ34名、両者とも施行15名の計105名に行いましたが、両側卵管閉鎖5名、男性因子2名、早期卵巣不全1名、検査後3周期以内で経過の判らない17名の計25名を除いた80名で、検査後半年以内に32名(40.0%)が妊娠に至りましたので、一般不妊治療における卵管疎通性検査の重要性が再認識されました。
なお、通気テスト後半年以内の妊娠は46名中14名(30.4%)、HSGでは40名中18名(45.0%)となっています。
].体外受精・胚移植での妊娠は5名6胚移植中2名(胚移植あたり33.3%)でした。
一般不妊治療で妊娠に至らなかった方々5名に、体外受精・胚移植(IVF-ET)をさせて頂きました。
5名の年齢は31歳から38歳(平均年齢34.4歳)で、内訳は新鮮胚移植3名と凍結融解胚移植3名でした。
妊娠反応は新鮮胚移植2名と融解胚盤胞移植1名で陽性となりましたが、胎児心拍動を確認できたのは2名(新鮮胚移植1名、融解胚盤胞移植1名)でした。
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