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不妊治療をこの1年間173名に行い108名(症例別妊娠率62.4%)が妊娠に至りました。 (図1)
平成29年1月から平成29年12月までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は263名。 診療が1周期のみの49名(内訳は治療が1周期のみ33名やカウンセリングのみ7名、血液検査や通気テスト、精液検査のみ9名)を含む治療周期が2周期までで且つ以後の経過の判らない方72名を除いた191名を解析対象としました。
191名から男性因子で当院での無治療の10名(無精子症や500万/ml未満の乏精子症や運動率が5%未満の精子無力症6名、EDや射精障害、sex less 等の性機能障害4名)、FSHが15以上の閉経および早期卵巣不全5名、両側卵管閉鎖3名の計18名を除いた173名のうち、妊娠に至った方は108名(症例別妊娠率62.4%)でした。
尚、生殖補助医療である体外受精・胚移植を行った症例はありませんんでした。
開院以来15年10ヶ月でのべ1,438名が妊娠に至っています。(図1)
平成14年3月に開院以来、平成29年12月までの15年10ヶ月で、妊娠した方は
平成14年度50名、15年度57名、16年度79名、17年度101名、18年度80名、
平成19年70名、平成20年118名、21年92名、22年106名、23年106名、24年92名、25年102名、26年101名、27年95名、28年81名、29年108名を加えて、のべ1,438名となりました。
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治療法別の妊娠は、妊娠に至った108名中、タイミング療法で46名(妊娠者の治療法別妊娠率42.,6%)、排卵誘発剤等投与で62名(57.4%)、体外受精胚移植は0名でした。
なお、排卵誘発剤62名は経口投与37名、卵巣刺激注射25名でした。(図2)
症例別の妊娠はタイミング療法78名中46名(59.0%)、排卵誘発剤投与159名中62名(39.0%)で、排卵誘発剤別では経口投与101名中37名(36.6%)、卵巣刺激注射は58名中25名(43.1%)でした。
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表1
治療法 |
症例 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
多胎 |
多胎率 |
タイミング |
78 |
46 |
59.0 |
5 |
10.9 |
0 |
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排卵誘発剤(経口) |
101 |
37 |
36.6 |
8 |
21.6 |
0 |
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hMG or FSH |
58 |
25 |
43.1 |
6 |
24.0 |
6 |
24.0 |
小計 |
173 |
108 |
62.4 |
19 |
17.6 |
6 |
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体外受精 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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総計 |
173 |
108 |
62.4 |
19 |
17.6 |
6 |
5.6 |
※同年内において複数の治療を受けた方がおられるので、
個々の治療法別の症例数の合計が、小計を超えることがあります |

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@タイミング療法だけで78名中46名(症例別妊娠率59.0%)が妊娠。(図3)
超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の確認、尿のLH検査等によるタイミング療法や指導のみで78名46名(症例別妊娠率59.0%)が妊娠に至りました。
A排卵誘発剤等の薬剤経口投与で101名中37名(症例別妊娠率36.6%)が妊娠。(図3)
排卵障害や黄体機能不全の方、タイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、
経口の排卵誘発剤であるクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(同セキソビット)、その他高プロラクチン血症に対しカベルゴリン(同カバサール)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対しインスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(同グリコラン)等が投与され、101名290周期中37名(症例別妊娠率36.6%、周期別妊娠率12.8%)が妊娠しました。
B卵巣刺激注射で58名中25名(症例別妊娠率43.1%)が妊娠。(図3)
排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にHMGやFSHなどの卵巣刺激注射が58名213周期に行なわれ25名(症例別妊娠率43.1%、周期別妊娠率11.7%)が妊娠に至りました。
C 体外受精・胚移植はありませんでした。
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多胎妊娠は6名。 (表1)
多胎妊娠は6名(108名中6名5.6%)で、品胎(三胎)1名、双胎5名で全例HMG療法による妊娠でしたが、双胎の1例はvanishing twin(双胎1児死亡後子宮内にて消失)
となりました。また、双胎は5名ともD-D twin(2絨毛膜性双胎)でした。
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表2
IUI |
症例 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
多胎 |
多胎率 |
自然周期 |
症例別 |
2 |
1 |
50.0 |
0 |
0 |
0 |
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|
周期別 |
2 |
1 |
50.0 |
0 |
0 |
0 |
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経口剤 |
症例別 |
13 |
6 |
46.2 |
0 |
0 |
0 |
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周期別 |
24 |
6 |
25.0 |
0 |
0 |
0 |
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注射剤 |
症例別 |
28 |
9 |
32.1 |
0 |
0 |
0 |
|
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周期別 |
87 |
9 |
10.3 |
2 |
22.2 |
2 |
22.2 |
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総計 |
症例別 |
40 |
16 |
40.0 |
0 |
0 |
0 |
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周期別 |
114 |
16 |
14.0 |
2 |
12.5 |
2 |
12.5 |
※同年内において複数の治療を受けた方がおられるので、
個々の治療法別の症例数の合計が、小計を超えることがあります |
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夫婦間人工授精(IUI)を40名114周期に行い16名(症例別妊娠率40.0%、周期別妊娠率14.0%)が妊娠。 (表1)(表2)
IUI(intrauterine insemination with husband’s semen 夫婦間人工授精)を40名114周期に行い16名(症例別妊娠率40.0%、周期別妊娠率は14.0%)が妊娠に至りました。
原因不明不妊の場合IUIの周期ごとの妊娠率は自然周期3.8%、クロミッド周期8.3%、卵巣刺激注射周期17.1%との学会のデータがありますので、当院でもIUIに対し、クロミッドもしくは卵巣刺激注射を基本併用しており、排卵誘発剤等経口投与IUIは13名24周期に行い、6名(症例別妊娠率46.2%、周期別妊娠率25.0%)が妊娠に至り、双胎妊娠は0例でした。
卵巣刺激注射IUIは28名87周期に行い9名(症例別妊娠率32.1%、周期別妊娠率10.3%)が妊娠に至りましたが、1例が双胎妊娠(多胎妊娠率11.1%でした)。
流産は108名中19名(流産率17.6%)(表2)
妊娠された108名のうち19名(流産率17.6%)が流産に終わりましたが、子宮外妊娠は0名でした。
治療法別では、タイミング療法では46名中5名(流産率10.9%)、排卵誘発剤等経口投与で37名中8名(流産率21.6%)、卵巣刺激注射で25名中6名(流産率24.0%)が流産に終わりました。
また、流産に終わった症例の母体平均年齢は35歳3か月なのに対し妊娠継続した症例の母体平均年齢は33歳6か月でしたので、治療法が高度になるほど、また年齢が上昇するほど流産率が高くなる傾向がありました。
またIUI妊娠16名中2名(流産率12.5%)が流産に終わりましたが、経口排卵誘発剤は6名中0名、卵巣刺激注射では9名中2名(22.2%)が流産となりました。
卵管疎通性検査後、半年以内に98名中41名(妊娠率41.8%)が妊娠。
通気テストや子宮卵管造影検査(HSG)、腹腔鏡などの卵管疎通性検査を28年7月から29年12月までに108名に行いましたが、両側卵管閉鎖3名、両側卵管水腫1名、男性因子4名、通気テストのみを施行した2名計10名を除いた98名中41名(41.8%)が半年以内に妊娠しましたのでので、一般不妊治療における卵管疎通性検査の重要性が今年も再確認されました。 |
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