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●令和4年不妊統計●
★★ 2022/1〜2022/12 当院の不妊治療成績 ★★

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不妊治療をこの1年間177名に行い102名(症例別妊娠率57.6%)が妊娠に至りました。 (図1)
2022年(令和4年)1月から12月までの1年間に妊娠を希望して当院に来院された方は263名。
治療が1周期、2周期のみで以後の受診歴がなく経過のわからない方が52名とカウンセリングのみの6名
、血液検査のみの4名、精液検査のみの5名、通気通水テストのみの7名の計74名を除いた189名を
解析対象としました。
189名から当院では無治療の男性因子6名(無精子症1名や精子濃度500万/ml未満の乏精子症3名、
性機能障害2名)、無治療の女性因子6名(FSHが40以上の早期卵巣不全1名、両側卵管閉鎖2名、卵管水腫3名)の
計12名を除いた177名のうち、妊娠に至った方は102名(症例別妊娠率57.6%)でした。
開院以来20年10ヶ月でのべ1,912名が妊娠に至っています。(図1)
平成14年3月に開院以来、令和4年の102名を加えて、20年10ヶ月でのべ1、912名が妊娠に至っています。
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治療法別の妊娠は、妊娠に至った102名中、自然周期タイミング療法で35名(妊娠者の治療法別妊娠率34.3%)、排卵誘発剤投与で67名(65.7%)でした。
なお、排卵誘発剤67名の内訳はクロミフェン(商品名クロミッド)やシクロフェニール(商品名セキソビッド)レトロゾール(商品名フェマーラ)による経口投与30名、HMGやFSH等による卵巣刺激注射37名でした。
症例別の妊娠は自然周期タイミング療法76名中35名(46.0%)、排卵誘発剤投与182名中67名(36.8%)。 排卵誘発剤別では経口投与95名中30名(31.6%)、卵巣刺激注射は87名中37名(42.5%)でした。
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表1
治療法別 |
症例 |
周期 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
多胎 |
多胎率 |
自然周期 |
76 |
133 |
35 |
46.0 |
7 |
20.0 |
0 |
0 |
経口排卵誘発 |
95 |
246 |
30 |
31.6 |
6 |
20.0 |
0 |
0 |
HMG or FSH |
87 |
324 |
37 |
42.5 |
9 |
24.3 |
3 |
8.1 |
小計 |
177 |
703 |
102 |
57.6 |
22 |
21.6 |
3 |
2.9 |
AIH |
症例 |
妊娠 |
妊娠率 |
流産 |
流産率 |
多胎 |
多胎率 |
自然周期 |
症例別 |
0 |
0 |
|
0 |
0 |
0 |
|
周期別 |
0 |
0 |
|
0 |
0 |
0 |
|
経口剤 |
症例別 |
10 |
1 |
10.0 |
0 |
0 |
0 |
|
周期別 |
11 |
1 |
9.1 |
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注射剤 |
症例別 |
50 |
21 |
42.0 |
6 |
28.6 |
2 |
9.5
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周期別 |
149 |
21 |
14.1 |
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総計 |
症例別 |
57 |
22 |
38.6 |
6 |
27.3 |
2 |
9.1 |
周期別 |
160 |
22 |
13.8 |
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※同年内において複数の治療を受けた方がおられるので、
個々の治療法別の症例数の合計が、小計を超えることがあります |
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@自然周期タイミング療法だけで76名中35名(症例別妊娠率46.0%)が妊娠。(表1)
基礎体温表や月経周期からのタイミング指導や超音波検査による卵胞径、子宮内膜厚の測定、子宮頚管粘液性状の確認、尿のLH検査等によるタイミング療法のみで76名133周期で35名(症例別妊娠率46.0%、周期別妊娠率26.3%)が妊娠に至りました。
A排卵誘発剤等の薬剤経口投与で95名中30名(症例別妊娠率31.6%)が妊娠。(表1)
排卵障害や黄体機能不全の方、自然周期タイミング療法のみでは妊娠に至らなかった方々に対し、経口の排卵誘発剤であるクロミフェンやシクロフェニール、その他高プロラクチン血症に対しカベルゴリン(商品名カバサール)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対しインスリン抵抗性改善薬であるメトフォルミン(商品名メトグルコ)、さらに2022年4月からはクロミフェン無効のPCOの方や、クロミフェンにて妊娠に至らなかった方にレトロゾール(商品名フェマーラ)等を投与し、95名246周期中30名(症例別妊娠率31.6%、周期別妊娠率12.2%)が妊娠しました。
B卵巣刺激注射で87名中37名(症例別妊娠率42.5%)が妊娠。(表1)
排卵誘発剤等経口投与でも排卵に至らなかったり、妊娠に至らなかった方々にHMGやFSHなどの卵巣刺激注射が87名324周期に行なわれ37名(症例別妊娠率42.5%、周期別妊娠率11.4%)が妊娠に至りました。
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一般不妊治療で妊娠に至らない原因不明不妊の方や、男性因子のある方、ヒューナーテスト(性交後試験)不良の方に夫婦間人工授精AIH(artificial
insemination with husband’s semen:IUI(intrauterine insemination子宮内精子注入法)またはFSP(fallopian
tube sperm perfusion 精子卵管内注入))を57名、160周期に行い22名(症例別妊娠率は38.6%、周期別妊娠率13.8%)が妊娠。(表1)
原因不明不妊の場合、AIHの周期ごと妊娠率は一般的には自然周期3.8%、クロミット周期8.3%、卵巣刺激注射周期17.1%とのデータがありますので、当院ではAIHに対して、原則クロミッドやセキソビッドもしくは卵巣刺激注射を併用していますが、本年は、排卵誘発剤経口投与併用AIHが10名11周期で1名(症例別妊娠率10.0%、周期別妊娠率9.1%)、卵巣刺激注射併用AIHが50名149周期で21名(症例別妊娠率42.0%、周期別妊娠率14.1%)が妊娠に至りました。
まとめるとAIH またはFSPを57名、160周期に行い22名(症例別妊娠率は38.6%、周期別妊娠率13.8%)が妊娠。(表1)
多胎妊娠は3名(102名中3名2.9%)で、3名とも卵巣刺激注射による双胎妊娠でした。
2名がD-D twin (2絨毛膜性双胎)で、1名がM-D twin(1絨毛膜2羊膜性双胎)
M-D twinが流産、D-D twinの1例は1児胎内死亡となりましたが、もう一方の児は順調に経過し出産。もう一組のD-D twinは2児とも順調に経過、出産。
卵巣刺激注射による多胎妊娠は37名中3名(症例別多胎率8.1%)
AIH併用の妊娠者22名中2名が多胎妊娠(症例別多胎率9.1%)
流産は102名中22名(流産率21.6%)(表1)
妊娠された102名のうち22名(流産率21.6%)が流産に終わりましたが、異所性妊娠(子宮外妊娠)が1名ありました。 治療法別流産では、自然周期タイミング療法では35名中7名(流産率20.0%)、排卵誘発剤等経口投与で30名中6名(流産率20.0%)、卵巣刺激注射で37名中9名(流産率24.3%)が流産に終わりました。 またAIH併用妊娠22名中6名(流産率27.3%)が流産に終わりましたが、経口排卵誘発剤は1名中0名、卵巣刺激注射によるもので21名中6名(28.6%)が流産となりました。
一般不妊治療で妊娠しなかったり、卵管閉鎖や男性因子のために23名が体外受精に進まれましたが、妊娠されたとの報告は現在まで1例のみ。
一方、体外受精を受けていた方4名が一般不妊治療を希望して来院されています。
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